横断歩道の走行について

移動ロボットが自律的に道路を横断するためには、

 ①歩道から車道への段差等を通り抜けるメカニカルな走行機能
 ②車道を走る自動車等を認識して(車道を走る車と暗黙のコミュニケーションを行い)
     安全な横断行動を決定し、その通り行動する能力

が必要である。移動ロボットが自律的に横断歩道を渡るためには、これらを実現する技術が求められる。

つくばチャレンジジ2015では、将来その能力をロボットに持たせるための準備として、

 ①のメカニカルな走行機能を達成し、
 ②のためのデータ収集や実現方式の検討の機会とする

ことを目的とする。そのため、つくばチャレンジ2015では、②については、現場にいる人間(実行委員、スタッフ、オペレータ)がアシストすることとし、人間が横断の開始を判断してロボットに横断開始を指示することとする。(この指示方法は、オペレータによるスイッチ操作か、現場担当者の手旗等による。またロボットは横断の開始後も、現場担当者の手旗による停止指示には従わなければならない。)
 つくばチャレンジでは、将来的には②の実験までできると良いと考えているが、これについては、次年度以降追って検討する予定である。なお、上記②の機能の研究開発のために、つくばチャレンジ2015においても実験走行時に特別の取り扱いを求めるチームがあれば、安全の確保や市民に迷惑をかけないことを条件として相談に応じる。

 

【横断歩道を走行するメカニカルな能力を持つことの確認】

 上記①の、横断歩道を走行できるメカニカルな能力を持つことは、その後の実験の前提である。そこで、つくばチャレンジ2015では、バックヤードに車道の横断に相当する模擬段差を準備する。参加チームには、ロボットに実際の横断歩道を渡らせる走行実験をする前に、その模擬段差を用いて、路面上のその程度の段差を走行する能力を十分に有することを確認することを求める。
 また、横断歩道を渡り切るのにかける時間は20秒以内とし、その時間で渡る能力を持たないロボットは横断歩道の走行実験を行うことはできない。(これらについては、実行委員会で確認や認定することはしないので、各チームの責任で実施すること。)

 

【安全確保ための横断歩道走行の方針】

 実際の横断歩道における実験実施に当たって考慮し、注意すべきは、

 [a]車道を走行する自動車(や自転車などの車両)
 [b]横断歩道や車道脇の歩道を歩く歩行者

である。ここでまず避けるべきことは、車両や歩行者と衝突・接触して相手を傷つけること、あるいは自分が傷つくことである。次いで考慮すべきは、車両や歩行者の走行や通行を妨げることを、できる限り避けることである。 以上の点に鑑み、実験に当たっては以下の方針とする。

 [a]車道を走行する車両への対処
 ・ 車両が近づいてきたときは(それが多少遠くても)、ロボットは横断歩道の手前で停止して待つ。
 ・ 近づきつつある車がないことを確認して、横断歩道実験担当の実行委員(または実行委員会
  スタッフ)が横断の開始を指示する。
 ・ ロボットが横断中は、手旗又は注意を促す標識などを用いて車道の走行を規制することとし、
  横断歩道を渡り始めた後に車が来た場合は、その車には停止してロボットが通り終わるまで待っ
  て貰う。

 [b]歩行者への対処
 ・ 車がおらず、また近づいてくる車もいない時は、ロボットは歩行者に注意しつつ走行する。
 ・ 車がいるとき、あるいは車が近づいてくるときは、たとえ歩行者が横断歩道を渡って車が待って
  いる状況でも、ロボットは横断歩道には進入しない。 なお歩行者が横断歩道の手前にいると、
  車は停止して歩行者に横断をさせることになるが、この場合もロボットは人に続いてわたること
  をせず、車が通りすぎるのを待って横断を開始する。

 

【横断歩道をわたる走行の手順】

 上記の方針に基づき、ロボットに横断歩道を走行させる手順は次のとおりとする。

1

ロボットは横断歩道の手前で自ら一旦停止する。
ついで、ロボットに随走するオペレータが、安全を確認した実行委員等の担当者の指示に従ってロボットのスイッチ等を操作し、 ロボットは走行を再開する。

2 一旦停止の場所は、車道に沿った歩道に入る直前とする。これは、歩道を通行する歩行者や自転車への妨害を避けること、および横断歩道の手前に人(やロボット)が立つことによって、車道を走る自動車に横断歩道手前で停止させることが生じないようにとの配慮による。
3 この一旦停止の場所では、到着したロボットから横断歩道の走行を行うこととし、ここでは、ロボットは前のロボットを抜かずに一列に並んで待つこととする。
これをガイドするため、路面には、一旦停止線および行列のガイドとなるラインを示すテープを貼る。
(この行列に並ぶことはつくばチャレンジ2011におけるエレベータ待ちの行列と同様である)
4

横断歩道上で、複数のロボットが錯綜するのを避けるため、横断歩道上に前のロボットがいるときは、次のロボットは横断歩道に直ぐには進入せずに待つこととし、前のロボットが車道の半分程度を進んだ後に、近づいて来る自動車がなければ、次のロボットの走行を開始させる。

5 ロボットは、横断歩道を渡る走行の開始後は、速やかに渡り切るべく行動する。
横断中に(横断歩道上で)ロボットが(ある程度の時間以上)停止したり、不規則な動きをしたりした場合は、自律走行を中止させ速やかにロボットを横断歩道から排除する。
6 ロボットが横断歩道上にいる時間は20秒以内とする。
その時間内で横断歩道を渡る能力のないロボットは、横断歩道走行の実験に参加することはできない。
7 ロボットはオペレータの指示によって、横断歩道の走行動作を開始した後も、実行委員又はスタッフが危険のおそれを判断して、その正面(1m以内)に手旗等を示して停止を指示した場合は停止すること。 
*これは車道を走行する車両等の想定外のふるまい等に対処するための機能である。

 

【10/30 横断歩道走行手順の追記】

1. ロボットは横断歩道の手前では路面に引かれた白ラインに沿って走行する。ここでは、ロボットが前にいるときはこれを追い越すことをせず、列を作る。
2. ロボットが近づいたら、横断歩道担当の委員は、横断歩道手前の車道脇の歩道の境界(今までの一旦停止位置)に、赤白チェックのボード(90cm高、60cm 幅=写真)を置くので、ロボットはその直前(20cm以内)に停止する。
3. 横断歩道担当の委員は、車道を近づいてくる車両がいないことを確認して、ロボットのオペレータに走行再開を指示し、同時にこのボードを取り除く。
4. ロボットは、この指示に従って、速やかに走行を再開し横断歩道に進入する。ここで、ロボットの走行再開は、オペレータの指示によってもよいし、または、 ロボット自身によるボードがなくなったことの認識に従っても良い。
5. ロボットが横断歩道に進入する前に、自動車が近づいてくることが発見さ れたなどの場合、横断歩道担当委員はロボットの直前にこのボードを置くことにより、ロボットに停止を指示するので、ロボットは直ちに停止する。
6. ロボットは横断歩道に進入後は速やかに渡りきるよう走行する.ただし、こ の間も他の通行人などと接触することがないよう行動すること。
7. ロボットが、横断が終わって横断歩道から上がる歩道に、歩行者がいたり自転車が近づいてくる場合にも、ロボットは、無駄に横断歩道の中に居続けることが起こらないよう行動すること。

【実行委員等の担当者の配置】

 上記の手順を実行するため走行実験においては、当面横断歩道部に、車等の状況を判断してロボットの走行開始を指示する担当者(実行委員を想定)、および手旗あるいは注意喚起用の標識等を用いて、両車線の車両に停止や注意を促す担当者2名(実行委員または運営スタッフ)を配置する。